書評とよべればいいけれど

本の紹介ブログです。解説というよりは感じたことを中心に、その本が読みたくなるような記事をめざします。

【書評】原田マハさんに会いたくなる『本日は、お日柄もよく』

小説を読んで、その奥にいる作家さんを感じることってありますか?

例えば私の場合は、

「あ、この作家さんぽい作品だな」

「おや、この作家さんにしては珍しい作品だな」

と思うことはよくあります。

しかしそこから先に進んで、

「この作家さんはどんな方なんだろう、お会いしてみたいなあ」

と作家さんに思いを馳せることは今までありませんでした。

 

そんな私が原田マハさんに会いたくなった1冊、『本日は、お日柄もよく』。

OLの主人公・こと葉が伝説のスピーチライター・久美に出会い、その人のもとで修業する様子を描いた作品です。

 

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

 

 

 この作品の一番の魅力。私は作中に登場するスピーチだと思います。

なんてったって、伝説のスピーチライターが登場して、

そのスピーチに、こと葉は衝撃をうけるのです。

 

つまり、読み手である私たちの心を動かすことができなければ、

こと葉に感情移入もできなければ、「伝説のスピーチライター」と認識することもできません。

なんということでしょう。

 

しかし原田マハさんは、それをなんなくやってのけます。

個人的には結婚式のスピーチ。人目もはばからず、電車内で涙しました。

原田マハさんの技が光る作品だと思います。

 

さて、なぜこんなにも原田マハさんに会いたくなるのか。

それは、こと葉と自分を重ね合わせているから、

そして、久美と原田マハさんを重ね合わせているからだと思います。

 

こと葉が久美に好奇心をもったように、

自分も、自分の心を動かす原田マハさんに。

「会いたい」という感情はきっとここからきているのでしょう。

 

すべての人にとって身近な「言葉」を扱う本作品。

スピーチの予定がある人はもちろん、そうでない人にもおすすめの1冊です。