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書評とよべればいいけれど

本の紹介ブログです。解説というよりは感じたことを中心に、その本が読みたくなるような記事をめざします。

【書評】『何者』を読んで、また本を読みたくなった

朝井リョウさんの『何者』です。

 

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

 

 

「就職活動前にぜひ読んでおきたい!」と思い、読み、ひどく打ちのめされた作品です。家族旅行という非日常のさなか、日常をどどんと突きつけられた、あの夜のことは忘れません。

 

打ちのめされましたが、2つの大きなものを得ることができました。それは

  1. 読書の新しい楽しみ方
  2. 何者視点

です。今回は1.について書いてみようと思います。(2.についてもいずれ書きます。)

 

最近映画化もされているので、この作品のあらすじは有名かもしれません。

就職活動とTwitterを通して見え隠れする仲間たちの表と裏。

就職活動やTwitterが身近な人ほど想像しやすい世界なのではないでしょうか。私はどんぴしゃでした。因みにこの作品を読んだ父は「面白かったけど本当にこんなことになってるの?こわいねえ」と言っていました。こんなことになってるのよ…

 

さて、私は小さいころから本を読むことが好きで、趣味欄には真っ先に「読書」と書くような子供でした。しかし、大学に入ると、好きな作家さんの本や勧められた本をたまーに読む程度になります。

 

そんなときに出会ったのが『何者』です。

この作品が読書に再びはまるきっかけとなりました。

 

みなさん小説ってどんな感じで読んでいるのでしょう?

私は、登場人物や風景をぼやっと作り上げて、読みながらそれらが動く、頭の中で映像化されます。そして観客として観て、「続きが気になるな」「これは伏線だったのか」「なるほど」そして「おもしろかった」。今までは、そこにある物語だけを追うような一次元的な楽しみ方をしていたような気がします。

しかし『何者』は違いました。

観客として観ていたら、カメラがこっち向いた!という感じ。実は自分も登場人物だった!という感じ。物語を読んで、自分はこうだと考える、自分と物語を行き来するような感覚でした。「物語」という軸に「自分」という軸が加わった二次元的な楽しみ方といえるかもしれません。

 

一時期、読書を趣味にしていた私ですが、違った楽しみ方なんて考えたこともありませんでした。そのぶん、衝撃も大きかったんだと思います。

一次元と二次元、どちらがいいというものではありません。どちらもいいと思います。

ただ「違った楽しみ方がある」ということを知ることができて、私は再び本を読むようになりました。

 

そして、いまこうして本を紹介するブログを書いています。

読書から遠ざかっている人ほど、読んでみてほしい作品です。

 

 

【『何者』の書き出し】

ドン、と、誰かの肩が当たって、リズムが崩れた。曲のテンポの波から外れた自分の体は、光太郎の歌声が作り出す空間そのものからポンと押し出されてしまったようだ。